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祖師谷循環バス乗車記

1カ月限定の世田谷区コミュニティバス実験運行

 世田谷区は2004年11月、同区砧総合支所を起・終点に、祖師谷地区の生活道路を1周する循環バスの実験運行を開始しました。期間は1カ月間で、車両は生田営業所のE122号車(専修大特定輸送用)を借り入れて実施しています。筆者は11月3日、このルートに全線乗車してきました。


▲発車を待つE122号車(砧総合支所)

 成城学園前駅北口から、一方通行の路地を抜けて砧総合支所に行くと、バスは既に到着していました。他のコミュニティバスと違うのは、ツーマン車であること。出入り口直後の座席に車掌さんがいて、運賃収受業務、乗客数のカウントなどをこなしていました。


▲小型の共通カード読み取り機

 バス共通カードは、車掌席に据え付けた小型読み取り機に差す方式で、現金は車掌さんと直接やりとりします。元々が大学のマイクロバスなので降車ブザーなどもないため、降りる停留所が近づいたら、車掌さんに直接申告します。この辺は大昔のツーマン車の雰囲気です。


▲砧総合支所を出発。前方の線路は小田急線

 午前9時発の便は筆者1人だけで出発。最前席に座ることができたので、路線の状況を観察することにしました。車掌さんによると、平日は結構乗車があるそうです。バスは線路沿いに東へ進み、砧図書館、保健福祉センターを通って、ほどなく祖師谷地区会館へ着きます。ここは祖師ヶ谷大蔵駅の最寄り停留所です。


▲祖師ヶ谷大蔵駅をかすめて進む

 ここから左折し、祖師ヶ谷大蔵駅前商店街を塚戸方面へ進みます。狭い商店街、歩行者も多いし荷下ろしのトラックも止まっているし、バスに乗っていても神経を使ってしまいます。


▲開店直前の商店街を行く(祖師谷出張所付近)

 都営団地に近い「ふれあい遊歩道」バス停で、お客さんが乗ってきました。商店街を抜けても狭い道が続きますが、仙川に架かる鞍橋の前後だけ2車線の広い道路ができていました。周りも開けており、ちょっと一息つきたい気分になります。


▲鞍橋で2名乗車。右側の森は祖師谷公園

 鞍橋を渡ってすぐに左折、再び一方通行の狭い道に入ります。この道路、先ほど出発した砧総合支所まで一本道ですが、この辺で筆者の方向感覚がおかしくなってきて、どこをどう走っているのか見当がつかなくなりました。祖師谷商店街よりもさらに狭い、民家の隙間を縫っていくような感じです。


▲公園入口〜成城7丁目で

 とうとう住宅地の奥地に入ってしまったかと思ったとき、急に視界が開け、いちょう並木が見えてきました。左側には、きょう学園祭を開催している成城学園高校。ここまで来て方向感覚を取り戻した筆者、よく乗っている成04系統と、実は路地数本を挟んで並行していることにやっと気付きました。1周20分弱、やがて砧総合支所の仮設バスベイが見えてきて、実験運行の旅は無事終了しました。


▲砧総合支所に戻ってきたE122号車

 きょうの実験運行では、運転士さん、車掌さんに大変親切にしていただきました。途中のお客さんの乗降扱いもていねいに行っており、車掌さんとお客さんが談笑する光景もあって、温かみを感じる車内でした。11月末までの実験期間が終わると車両は生田営業所に返還されますが、専修大のバスに一般旅客が乗れるのはおそらく今回限りであり、その辺もファンとしては楽しめると思います。

以上 取材日=2004年11月3日


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