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伊豆東海バスの531号車(三菱K-MP118M、59年式)は、元吉祥寺のA660号車で、三菱ふそうでは数少ない富士重工ボディー架装車として知られています。1994年に小田急バスから東海自動車(当時)に譲渡されて以来、伊東地区を拠点に活躍していますが、老朽化が進んでおり存続は予断を許さない情勢となってきました。そこで小田急バス私設ファンクラブでは、吉祥寺営業所の空港リムジン車で元A660号車に会いに行こうということで、日帰りの伊豆東海バスツアーを06年5月20日(土曜日)に企画しました。
伊豆東海バスは同社ウェブサイトで、531号車(ウェブ上は「沼津22く2107号車」と表記)が2007年6月24日をもって引退することを発表しました。23年間、両社で頑張ってきた同車に惜しみない拍手を贈ります。(この項2007.6.17記)
この日は、小田急バスファン掲示板などで応募された総勢28名(吉祥寺、新百合ヶ丘、荻の各地集合)が参加。午前7時、一次集合地の吉祥寺駅東口に私設ファンクラブ号・1007号車が横付けされました。早くも写真を撮っている参加者が幾人か…。管理人も負けてなるものかと、「小田急バス私設ファンクラブ様」と明記されたフロントビューにカメラを向けます。
鶴川街道・多摩川原橋付近の改良が功を奏し、新百合ヶ丘駅(二次集合地)までは信じられないくらい快適な走り。新百合ヶ丘で8名が乗車して、川崎ICから東名高速道路に入りました。最初の休憩は海老名サービスエリアで、1007号車をはじめ全国各地の観光バスが止まっているのを見ては、これまた撮影しないわけにはいきません。なぜか1007号車の幕が変わっていますが、気にしない気にしない。
小田原厚木道路、真鶴道路などを経由して、10時すぎには伊東市入り。2回目の休憩のため伊東マリンタウンの駐車場に入ると、同じグループカラーの伊豆東海バスの貸し切り車がお出迎えです。
吉祥寺から約4時間、1007号車は伊東市荻の伊豆東海バス車庫に到着しました。右に止まっているのが、本日のもう一台の主役、531号車(元A660号車)。ツアー一行は車庫で531号車に乗り換え、いざ東海岸の観光に出発です。伊豆東海バスの運転士さんと知り合いの方が今回のツアーに参加されていて、路線用の車内放送テープを流しながら大室山の麓を登るといった趣向もありました。
531号車の重厚なエンジン音を楽しみながら、最初に下車したのは、城ケ崎海岸。遊歩道の入り口には「城ケ崎ピクニカルコース」とあります。最初これを「テクニカルコース」と読み間違えたメンバーがいて大笑いしたのですが、いざ歩き始めるとぬかるみの急斜面が連続する大変なコースであることが分かり、「こりゃ本当にテクニカルコースだ」と悲鳴を上げる人も…。
しかし、頑張って歩けば絶景が出迎えてくれます。向こうにそびえる灯台の下は吊り橋になっており、城ケ崎の荒々しい海岸線を堪能することができます。昨夜までの雨も上がり、撮影条件は最高。海風に体を預けて水平線を眺めていると、旅の疲れも癒されるようです。
城ケ崎の駐車場で待機する531号車。名物?のアイスクリーム(350円)をほうばりながら、出発までの束の間、またまた撮影タイムです。
次の目的地は稲取。伊豆東海バス推薦の網元料理店「徳造丸」で、海鮮づくしの昼食をいただきます。旨い魚にアルコールも入って、ツアーは最高潮に達します。出発地から稲取まで携帯電話からマメに雑記帳を更新していた管理人、このあたりから更新ペースはがくっと落ちました。
昼食後、稲取のみかんワイン工場に立ち寄ると、いきなりの大雨。びしょ濡れになって531号車に戻り、荻へ帰ります。バスが海岸線に沿って快調に走っている途中、雨が上がって、水平線の向こうに虹がかかりました。デジカメでは伝えきれませんが、その美しさに車内では感嘆の声が上がりました。
というわけで、531号車は荻車庫に15時半ごろ帰ってきました。今回531号車を担当していただいた運転士さんによると、普段はめっきり稼働する機会が減って、廃車が検討されたこともありますが、存在を聞きつけたファン団体の貸し切り輸送が今回のように時々あるので、取りあえず稼働できる状態で残してあるのだとか。小田急、東海バス関係趣味団体の皆さん、531号車指名でどんどん観光ツアーを開催してください!
伊豆半島に別れを告げ、再びリムジンで吉祥寺への帰り道。このころになると稲取でのビール、ワインが効いてきて、車内で爆沈する人もちらほら。最終休憩地の大磯パーキングエリアで、今日の旅を演出してくれた太陽が、丹沢の向こうにゆっくり沈んでいきました。
〜写真はいずれも2006年5月20日撮影〜