小田急バス私設ファンクラブ実録シリーズ>稲城市循環バスリポート

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稲城市循環バスリポート(前編)

次の便の待ち時間、お知らせします


▲試行運行に使われるA206号車(2001年9月29日、町田営業所で許可を得て撮影)

 稲城市は小田急バス町田営業所に委託して、京王相模原線・稲城駅を中心に市内を一周する循環バスの試行運行を、2001年10月1日から11月末まで実施しました。同社担当のコミュニティバスは三鷹市、武蔵野市に次いで3市目。この試行運行では、インターネットと電話によるバス到着時刻案内システムと、一部の区間で電話予約により所定の停留所以外でも乗車できるデマンドバス制度を取り入れたのが、他市にない特徴です。
 基本的経路は右回りと左回りの2コースにより、平尾団地、若葉台駅、市役所を回って稲城駅に戻るもので、運賃は200円(こども100円)。バス共通カードも使えます。


▲右回り線運用中のA205号車(2001年11月23日、川崎市麻生区栗平で)

というわけで、乗ってきました左回り線

 筆者は11月23日、稲城駅10時45分発の左回り線に試乗しました。
 駅に行ってみると、試行のためだけに準備したとは思えない立派な停留所ポールが建っており、ロータリーには吉祥寺から借り入れたA206号車が待機していました。平尾団地から稲城駅を通って矢野口方面へそのまま乗車することが可能なようで、まだポールに横付けしていないのにお客さんが乗ったままでした。駅からのお客さんはバス乗車そのものを楽しんでいる風情の人が多く(筆者もそうですが)、お年寄りの姿が目立ちました。


▲稲城駅前の停留所と待機中のA206号車

 駅を発車すると、バスは矢野口駅まで柿24系統と同じルートをたどります。悪評高い鶴川街道の渋滞が始まって、矢野口下宿から矢野口駅までは例によってノロノロ、「おやおや駐車場になってしまったよぉ」とお客さんはのんきな会話を交わしています。
 JR南武線の踏切を越え、駅北側の新しい道に入ると、バスは今までのうっぷんを晴らすかのように快走。稲城6小前からは若葉台駅まで行くという親子連れも乗車し、車内は一段とにぎやかになってきました。

 突然、運賃箱の上に付いた小さな箱がピーピーと鳴り、赤い表示灯が点灯しました。これが稲城市循環バス計画の目玉、デマンドバスシステムです。
 循環バスは向陽台4丁目・向陽台5丁目、いなぎ苑、平尾団地東・台原・第5小前の3地区をデマンド区間に指定し、この区間で乗降がある場合に限り通常ルートから迂回します。降車の際は運転士に声を掛ければOKですが、乗る場合は電話かインターネットで予約することになっており、予約が入ると該当のバスに無線指令が入ります。先ほどのアラームは指令の合図で、4つ(1つは未使用)並んだ表示灯はそれぞれの地区のデマンド状況を示すわけです。ちなみに、筆者の便は平尾団地で予約が入りました。


▲矢野口駅〜大丸親水公園間は渋滞知らずの快適ルート

 第四保育園前で再び南武線の踏切を渡り、そのまま川崎街道に出ると、間もなく南多摩駅。稲城市立病院にちょっと立ち寄ると、府中駅行き(京王電鉄バス)と間違えたお年寄りが乗車しそうになりましたが、同じ小型バスで紛らわしかったのでしょうか。停留所には、その府中駅行きチョロQ(日産ディーゼルRN)が続行で入ってきていました。
 先ほど発車した稲城駅を左手に見ながら、城山公園から市民体育館方面へ右折し、バスは長峰団地へ。ここも近年、公団住宅の開発が急ピッチで進み、道路も景観もすっかり変わった所です。公園では、広大な原っぱを利用してバーベキューを楽しむ家族の姿も見られました。


▲栗平駅前の循環バス乗り場

 若葉台駅でかなりの乗客が下車した後、稲城坂浜交差点から鶴川街道に一瞬戻ったバスは、しかし再び稲城高校への狭い道を左折します。道なりに行くと浄水場前に出るので、平尾地区への抜け道として地元では知られていますが、それにしても狭い。本運用になるとしたら、エルガミオなりリエッセなり、いずれにせよ7メートル車以内でないと無理でしょう。
 上平尾から団地周回道路に入り、団地が尽きると、稲城市循環バスはそのまま県境を越え川崎市に入っていきました。平尾団地の住民もよく利用する小田急多摩線・栗平駅に立ち寄るためです。立派な「試行」停留所は栗平駅前にも建っており、今のところこれが同駅を経由する唯一の路線バスになっています。きょうはデマンドがあるのでバスはここから平尾団地東を回り、上平尾から再び柿24・稲02系統などと同一ルートをたどって稲城駅に戻りました。
 循環バスは一部が既存路線と重なるものの、全体的には市内の交通空白地域をうまくカバーしており、大丸地区から若葉台・栗平方面といった新しい需要を掘り起こす可能性が感じられます。

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